2025年、日本ではアクティビスト投資が大幅に増加しました。企業は、2026年にこの動きが一層活発化することを想定し、対応策を準備する必要があります。
2025年、日本における株主アクティビズムは51%増加し、2026年には活動がさらに拡大することが予想されます。企業は、アクティビストが行動を起こす前に、株主の懸念に積極的に対応する必要があります。
バークレイズが発表した2025年末のデータによると、同年に日本で行われたアクティビストによるキャンペーンは56件で、過去最多となりました。現在、日本は、米国以外でのアクティビズム対象全体の約半数を占めており、世界で2番目に多くアクティビストの関心を集める市場となっています。
かつては欧米特有の手法と見なされていたアクティビズムは、日本市場、特に国内投資家の間でも一般的な手法になりつつあります。エリオット・インベストメント・マネジメントやオアシス・マネジメントといった世界的なアクティビストも、2025年には日本企業に複数のキャンペーンを展開しました。一方で、昨年8件のキャンペーンを展開した日本の村上ファンドがこれらを上回り、スターボード・バリューと並んで世界で3番目に株主提案数の多いアクティビストとなりました。
アクティビスト投資家の手法は進化を続け、参入する市場ごとに適応しています。そのため、企業やそのコミュニケーション担当者は、対応策を継続的に見直し、最適化しておく必要があります。迅速かつ一貫性のあるメッセージ発信や、主要株主をはじめとするステークホルダーへの的確なアプローチに備えることが求められます。そして何よりも、たとえ意見が異なる場合でも、アクティビスト投資家と建設的に対話する姿勢を示すことが重要です。
他の市場の事例から、単なる防御的な姿勢では成功しにくいことが明らかになっています。米国でアクティビズムが活発化し始めた頃は、経営陣や取締役会がアクティビストを完全に排除し、株主の支持を期待するケースが多く見られました。しかし、現在では小型株と称される企業を除き、そのような対応は稀です。取締役会は、困難であっても、アクティビスト株主と真摯に向き合い建設的な対話を図ることが、抵抗するより効果的であると学んだためです。
日本におけるアクティビズム
日本企業に対するアクティビスト投資家の関心は、長年にわたり高い水準にありましたが、近年いくつかの要因によって活発化しています。デフレからインフレへの転換や、東京証券取引所が2023年に株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業に発出したPBR改善要請により、資本コストや自己資本利益率(ROE)に関する共通認識が形成されました。これにより、アクティビストと経営陣の間で生産的な議論がしやすくなっています。
ラザードの調査によると、資本配分が主要な焦点となっており、2025年の日本におけるキャンペーンのうち、自社株買いや配当の増額が50%を占めています。
アクティビストの要求はそれだけにとどまらず、昨年は日本におけるキャンペーンの30%が事業運営や経営戦略に関する要求となり、CEOが交代する事例も見られました。もし日本でのアクティビズムが米国と同じ流れを辿るとすれば、今後は特定の部門や場合によっては事業全体の売却を強く求める動きが一段と強まる可能性があります。
時価総額50億~200億ドル規模の日本企業も標的とされるケースが増加しています。これらの企業は日本におけるキャンペーン対象全体の24%を占めており、日本の公開市場に占める割合(15%)を大きく上回っています。
また、日本企業の投資家層は拡大しつつあり、グローバル化も進んでいます。日本におけるアクティビズム全体の43%が海外ヘッジファンドによるものであり、エリオット、バリューアクト、パリサーなどの国際的な投資家が、アジア拠点のストラテジック・キャピタルや3Dインベストメント・パートナーズとともに、複数のキャンペーンを展開しています。
日本企業に求められる備え
日本の金融市場は独自の特性を持っていますが、株主やアクティビスト投資家とのエンゲージメントにおいては、世界共通の原則も存在します。2026年に向けて日本企業が検討すべき主な対応策は以下の通りです。
自らアクティビストの視点を持つ
経営陣、取締役会、外部アドバイザー(財務・法務・コミュニケーション)は連携し、アクティビストが指摘する前に潜在的な懸念事項を特定する必要があります。
これには、事業運営、株主価値、資金管理、後継者計画やリーダーシップの課題などの検証が含まれます。
緊急時対応計画を策定する
現在、このような計画は、米国をはじめ多くの企業で標準化されています。
アクティビスト・キャンペーンで想定される典型的なシナリオ(通常3~5件)を網羅するコミュニケーション対応計画を策定します。この計画は、定期的に見直しや試験運用を行い、有効性を確保することが重要です。
議決権行使助言会社を活用する
まだ採用していない場合は、議決権行使助言会社の起用を検討し、株主構成の変化を把握しましょう。
また、IRサイトのアクセス状況や適時開示情報をオンラインで分析しているIPアドレスをモニタリングすることで、早期に兆候を察知するための手がかりとなります。
最大かつ最も信頼できる株主と対話する
アクティビストが行動を起こす前に、これらの投資家と積極的にコミュニケーションを取りましょう。
定期的な対話を通じて、株主の関心事や懸念を把握できます。自社の戦略と常に一致しているとは限らないと意識する必要があります。
このようなコミュニケーションは、投資家向け説明会のように、戦略的な方向性や資本配分計画を明確に伝える場として活用しましょう。
日本の経営陣や取締役会が認識すべきことは、アクティビズムは「起こるかどうか」ではなく、「いつ起こるか」という局面に入っているという点です。
投資家との積極的なエンゲージメント戦略や、戦略・資本配分に関する明確なメッセージを持たない企業は、自らをリスクにさらすことになります。アクティビスト投資家が自社に接触した際、積極的なエンゲージメントはもはや任意ではなく、投資家やステークホルダーの信頼を築き、維持するために不可欠です。
